走れ!真夏のヒーロー!
……、あっ。
「いたあぁあああ!?」
――まさかここにきて全員で声を揃えることになろうとは。
ロックマンが何気なく視線を遣った先、その場にいた全員が釣られてそちらを見ると偶然にもこれ以上分かりやすいものはないくらい分かりやすい事件の犯人がいたのだ。
それと言うのがこてこての風呂敷に水着を包んで背負ったアロハシャツにハーフパンツ姿のサングラスをかけた男で――声と視線を受けてはみ出ていた水着が、はらりと砂浜に。
「あっ!」
逃げ出した。
「こちら正義部隊、犯人を発見した」
ロックマンは耳に手を当てたがどうやらシュノーケルだと思っていたそれは改造した無線機器だったらしい。
「犯人は逃走中、ビーチを抜けて道路に出た。至急道路の封鎖を要求する」
……しかし。何故犯人はこうも分かりやすくありながら今の今まで上手く行方を眩ませ続けていられたのだろう。
「繰り返す――」
こうしちゃいられない。
「追いかけよう!」
真っ先にシュルクが駆け出した。
「兄さん!」
後に続こうとして。
「私たち、端から見たら“一般人”だわ。事情を知らない他の一般人が道路を水着姿で駆ける兄さん達を見たら――」
確かにそれでは不審者にしか見えない。
しかし、だからといって後のことを全て警察に任せるというのも心許ない。焦りばかりが募っていたその時いつの間にか姿を消していたルキナが更衣室からあるものを持ってきて。
「マークさん、これを――!」