走れ!真夏のヒーロー!
更衣室前。
「すみません……」
これは。
「私が油断してしまったばかりに……」
顔を苦くして謝るルキナは白のTシャツを着ていた。……上だけ。
というのも彼女もルフレと同じく海で泳いでいた隙に上の水着だけ取られてしまったようなのだ。彼女の場合すぐに気付けたが何しろ人が多い。見渡せど、誰が犯人なのか検討もつきやしない。
結局今度も犯人は分からないまま犠牲が増えるだけの結果となってしまった。
「謝らないで。こっちこそ、肝心な時に側に居なくてごめん……」
申し訳なさそうに謝るシュルクの傍ら、マークはルキナを見つめていた。
海から上がって直ぐにメンバーの誰かがTシャツを着せたのだろう。多少は乾いているのだろうがシャツが張り付き、肌の色が所々窺える。それだけでも目のやり場に困るというのに加えてシャツがでかいものだから下の水着が大きく隠れてしまい、ちらちらと見え……見え……
「マーク?」
はっ。
「どうしたの?」
「い、いや別に」
マークはさっと目を逸らして。
「犯人め」
シラヌイは拳を握り締めた。
これで正義部隊から二人の犠牲者が出てしまった。握り締めた拳を震わせる彼女の表情からは悔しさが滲み出て――
「何故、儂を狙わぬのじゃ!」
「誰が好きこのんで寸胴犬を選ぶんだ」
モウカは小さく溜め息。