走れ!真夏のヒーロー!



外に出た途端、うっと呻くような眩しい陽の光が射した。思わず窄めた瞼をゆっくりと開いた後、視界に飛び込んだ光景にはっと目を開く。

「これは……!」

マークは我が目を疑った。……まさか自分たちが少し離れている隙にあちらこちらで警察官がまだ水着姿の一般人に事情聴取をするような事態になっていたとは。

「今年は特に多いんだって」
「えっなにが?」
「水着の盗難事件」

ペアの女性がこそこそと話しながら歩いていくのを振り返って。

「こんな所にいたのか」

現れたのはブラピだった。

「状況は?」
「ビーチ全域は警戒態勢に入った。となれば犯人が逃げ出すのも時間の問題だろうよ」

パックマンは顔を顰めて。

「一般人が大事なのは分かるけどさぁ、慌てて動かれるのが一番困るんだよねぇ」
「僕たちも“一般人”、だろ」
「はいはい。お勤めご苦労さま」

シュルクが言うとパックマンは肩を竦めて嫌みったらしく。

「あまり派手に動くと却って犯人の足が掴めなくなるな……」

マークは困ったように腕を組んで。

「他の連中は?」
「“一般人”だからね。素知らぬ顔じゃないけど探りくらいは入れてるよ」
「僕たちも情報を集めよう」

と、その時だった。


「おぉーい!」


声を上げて手を振り駆け寄ってきたのは。

「シラヌイ……?」
「ばっ、大きい声を出すな!」
「コソコソしとる方が余計怪しいわ!……それより大変なのじゃ!」
「何かあったのかい?」

シラヌイは青ざめながら。

「ルキナの……」
「えっ?」
「ルキナの水着が盗まれたのじゃ!」

……、……え?
 
 
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