困った時の?
クレイジーは溜め息をついた。
「いっそ建て直した方が早いんじゃない?」
――中庭。ぐるりと見渡しただけでも屋敷の壁や取り囲う塀に傷が見られる。恐らく剣士組が稽古の際に傷付けたものがほとんどだろう。いや子供組だって子供とは一概に言っても戦士の端くれなのだから関係がないとは言い切れない。
そもそも此処はX部隊の拠点なのだ。亜空軍だけでなく敵対する悪の側から何度か襲撃を受けているのだろうし当然といえば当然か。
「何を言ってるんですか」
リンクは振り返った。
「この屋敷にはたくさんの思い出が詰まっているんです。それにこれは他でもないあなた方だからこそ頼むのですよ?」
マスターとクレイジーはちらっと視線を交わす。
「切っても切れない縁、長い付き合いではないですか」
「壊していいなら壊すけど?」
「クレイジー。くだらない発言につっこむな」
放っておけという兄のお咎めにクレイジーは密かに息を吐く。
「それではお願いします」
……やれやれ。
「リンク」
入れ替わるようにしてロイとマルスが駆け寄ってきた。
「言われた通り、裏庭の壁も崩しといたぜ」
「ありがとうございます」
リンクは離れた場所で再構築を図る双子を見遣る。
「あの様子なら限界も近いですね」
マルスは暫く黙っていたが、
「……そういえば。ゼルダが探していたよ」
「おや。どういった用件でしょう」
「分からないけど行ってみたらどうかな」
リンクは腕を組んで考えていたが頷いて。
「そうですね。この場は任せましたよ」
「うん。分かった」