乱立!ラブフラグ!
遮るように。
……唇を塞いだのは。
「なっ」
程なく解放を許されたが当然のこと顔を見れるはずもなく。
「何すんだよ、馬鹿……っ」
唇を奪ったその人の胸に額を押し付けて。
「……これが欲しかったんだろう?」
やっぱりこいつ、狡い……
「全然ロマンチックじゃないし」
「ただの接吻にそんなものを求めるのか」
「ぁ、当たり前だろ!」
こいつが何も考えずただキスがしたいという此方の願望を感じ取ってそれに応えただけならなんて淡白で面白みのない初キスだったのだろう。他の誰と比べるつもりもないがもう少し、こう、美しい夜景を見渡せる絶好のスポットとか――
「え?」
ぐいと服を掴んでいた手を剥がされて。
視界が反転。ぼすんっ、と。
「……勘違いをさせてしまった責任もある」
押し倒したその本人は腕を押さえつけ見下ろして。
「立てたフラグは回収しないとな」
え、あ……あぁ……
「ちょっと待てええぇえええ!?」
硬派である彼が今更引くはずもなく。
後日パックマンが腰を痛めたのは言うまでもない話。
end.
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