レッドさん落ち着いて!
考えすぎ。……うん、きっとそれだ。
夕食を終えてネロは一人廊下を歩いていた。このまま素直に真っ直ぐ部屋に戻るというのも相談した直後では。結論が既に出ているにしても何となく気まずい。……とはいえバトルルームで大乱闘って気分でもないし、外はもう暗いし。
「おおっ!」
ネロは視線を上げた。
「ちょうど呼びに行くところだったのだよ!」
鉢合わせたのはローナとシフォン。
「運が悪かったわね」
察し。Uターンを決め込んだが即座に足首を蔓の鞭で絡め取られた。顔面強打。
「そんなに慌てて何処へ行こうと言うのかしら?」
にっこり。
「ほら行くわよ」
「しゅっぱぁーつ!」
「ぎゃああぁあああ!」
こうして声を上げてしまうのも無理もない。
だって行き先は。
「へい、おまちどうっ!」
やっぱりかああぁあああ!
湿気のお陰で仄かに温かく石鹸の香りがすんと香る。
浴場? とんでもない。――此処は地獄だ!