レッドさん落ち着いて!



……、……え?

「メガストーン?」

レッドはぽかんとして構えていた腕を垂らした。

「そう!」
「ってなに?」

これにはその場に居合わせたマークとルフレもがくっと転けそうになった。

「まさか、知らなかったのかい!?」
「ポケモンがメガシンカするために必要な石のことよ!」

レッドは目を丸くして振り返る。

「でもリオンとユウはそんなもの――」
「持っているぞ?」

え?

「この首輪に、ほら」

リオンは首に付けてあった首輪を腕を回して外し、差し出す。確かに、服の作りのせいで見えづらかったが首輪には夕陽に燃えるような橙の球が付いている。

「ゆ、ユウは」
「幼い頃に誤って呑み込んでしまったらしい」
「そんなの有りかよ」

ネロが思わず呟く。

「じゃあメガシンカ出来なかったのは」

レッドが恐る恐る視線を遣ると、ネロは大きく溜め息。

「メガストーンが無かったからに決まってるだろ」


ああ。これはどうしたものか。

今まで羞恥を忍んで起こした言動の数々は――


「……レッド?」
「ねっ、」

レッドは頭から湯気を吹き出し、真っ赤な顔を上げて叫ぶ。

「ネロの馬鹿ー!」


策士策に溺れるとはこの事か。


「……同じ戦術師を語るには」
「まだまだ修行が必要ね」
「馬鹿! 馬鹿! ネロの大馬鹿へたれ馬鹿ー!」
「落ち着けってレッド! 最後のは余計だあああ!」



end.
 
 
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