レッドさん落ち着いて!
『X部隊』が拠点とするエックス邸はレイアーゼ都心部より離れた林を抜けた先にある。
今日は。何用でもないが様子を窺いに。
「上手くいってるかしら」
歩きながら。ぽつりとこぼしたのはルフレだった。
「問題とされていたのは"絆"だろう。大丈夫さ」
といった具合に笑みを浮かべるのはマーク。
「元々、問題があったわけでもないし」
「持ちかけたのはレッドだものね」
二人はそう話すが、全く無問題という話でもないから訪れるのだ。
――戦場の後衛に構えながら。策を弄する策略家。同じ戦術を謳う者として通じ合うところもあるにはあるのだが何分彼の場合、妙なところが抜けている。確かにそれだって自分たちに言えないとも限らないのだが、今回の場合は、まあ。
「……見えてきたね」
マークが呟くとルフレは顔を上げた――と、その時。
すぐそこまで見えていたエックス邸から眩いばかりの光が弾けたのだ。一瞬、目が眩んで思わず足を止める二人だったが双方そっと瞼を開くと顔を見合わせて。
エックス邸中庭。
「……なんで」
レッドは目を開きながら、メガバングルに当てていた手を恐る恐る離した。ネロは顔を上げる。
マークとルフレが現場に駆けつけたのもちょうどその頃だった。真っ先に気付いたリオンが視線を遣ったがいつもの調子で絡めるような雰囲気でもないらしい。黙って視線を戻すリオン、マークとルフレも浅く息を弾ませながらゆっくりと注目する。