レッドさん落ち着いて!
とりあえず。朝飯と身支度を済ませ、外に出てみる。
「ネロ殿!」
と、この声は言わずもがな。顔を上げたネロは目を丸くした。声の主は確かに、リオンだったのだが何せ姿が変わっていたのだ。具体的には目つきが切れ長で雰囲気が大人びており、手のひらに目を遣れば爪の表面が赤く塗られ鋭利に伸びている。尻尾も、普段のものと異なり金色の獣毛がふさふさと。……一方で。
その隣で腕を組むのはユウのようだった。というのも、彼、普段よりひと回り小さい。ひと言で言うなら――子供と化している。平常時は紫であるはずの瞳は赤く鋭く、普段三つ編みに結っていた襟足は解かれ、けれど代わりに長く腰の辺りまで流して。……この姿。つい先日にも同じものを見た。
これは――メガシンカした姿だ。
「どうしたんだよ」
ネロは怪訝そうに見つめて進み出る。
「かっこいいだろう!」
「本人に聞け」
ユウは、これまた普段より幼い声で言ってゆっくりと視線を遣った。釣られて、見遣る。
「……レッド」
そこに居たのはレッドだった。左手首には光迸るメガバングル。
「あれから考えたんだ。どうしてネロだけがメガシンカ出来なかったのか」
レッドは左手の拳を握って突き出す。
「俺を信じて。メガシンカだ、ネロ!」