レッドさん落ち着いて!



次の日の朝のことだった。

「どぉーん!」

とまあこんな具合に奇襲されるのは日常茶飯事で。

「ぅぐっ」
「目覚めるのだ勇者よ!」

さあさあと布団を挟んで腰に跨り急かすのは言わずもがなローナである。

「または。甦れドラゴン!」

昨日は思っていた以上にそわそわしてよく眠れなかった。二時間か三時間前に寝たばかりだというのに起こされるとは、たまの休日くらいゆっくりさせてくれ。

「分かったから……」

気怠そうに押し退けてネロは重い体を起こす。

「ほら」

欠伸を漏らすネロの頭に降り注いだのは着替えと思しき衣服だった。

「さっさと着替えなさいな」
「何かあるのか?」

ネロは寝惚け眼で衣服を手に取る。

「レッドが待ってるんだよ!」
「……あいつが?」

きょとんと。そういえば見当たらない。

つーかなんで先に行ってるんだ?

「分かったら早く着替えたまえ!」
「ばっ、勝手に脱がすな服を引っ張るな!」
 
 
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