レッドさん落ち着いて!
ぼんやりとした思考の中。心臓の音が聞こえる。
「……ん」
ベッドの軋む音。かかる体重に小さく呻くとレッドは首を傾げて。
「痛かった?」
気のせいか頭の中にまで響いて聞こえる声にぼうっと耳を貸しながら、いや、と拾いづらい声の調子で応えるとレッドは微笑を浮かべて。引き続きぐっと押されれば緩く拳を握って目を閉ざす。半開いた口からこぼれ落ちるのは吐息と弱々しい声。
……やばい。……気持ちいい。
ただのマッサージだけどな!
「いぃーなぁー」
向かいのベッドの縁に腰を下ろし足をぶらぶらとさせながら、羨む声を上げたのはローナだった。そんな声など聞く耳持たず。ネロはマッサージを堪能中。
「レッドー僕もー」
「貴女は凝ってないでしょう」
一方で特に興味も湧かないのか読書をしながらシフォンがぽつり。
「えー違うよ」
ローナは振り返って。
「僕がネロをマッサージするの!」
「お前に任せたら骨が逝くだろうが」
「ちょっとだけだよ?」
「ちょっとも駄目だろ!」