レッドさん落ち着いて!
ボディソープを染み込ませて、くしゅくしゅと。白く泡立ったスポンジを手に後ろから包み込むようにして両の手を回す。まずは首筋とそれからするすると下ろして鎖骨、胸板。スポンジを滑らせながら背と胸を密着させて耳元。
「痒いところはない……?」
違う。そうじゃない。
強気になれとは願ったけど誰がそっち方面で攻めろと言ったよ!?
「お、おう……」
あらぬフラグが建設しつつある。飛び蹴りしてやりたい。
「――ッッ!?」
願わくば今すぐに。
この世界の狡いところは神頼みが出来ないことだよ! 助けてくれと膝を付けば床を舐めろと笑ってその一部始終をビデオカメラに収めるに違いない。
それよりも。
「ん……そっか」
何か粒のようなものが背中に当たってるんですけど!
「その様子だとあまり怖くないみたいだね」
俺は自分の明日が怖い。
「もしかして俺と二人だけでも平気だったりするのかな」
怖い怖い怖い怖い!
「仲良いよなぁ」
本当に、と隣で髪を洗っていたロイが笑う。
「これが“絆”ですね」
「僕たちも洗いっこしようか?」
「遠慮しとく」