ハツジョウ禁止!リターンズ!
えっ。
「わんっ!」
ちょっと待てええぇえ!?
「お前っ、ふざけるな!」
両手首を掴まれベッドに押し倒されるブラピを尻目に。……何処にも隙が窺えないかと思えばそういった言動に此方が惑わされていただけだった。まあ元を辿れば敵同士ではないのだから警戒とは一概にいっても結局は最終的に越えられないラインというものがある……リオン相手に、それは迂闊だったな。
「離せ、っおい!」
「……リオン」
ユウは部屋を出る直前にぽつりと。
「好きにしろ」
「はいっ!」
「な、」
橙の瞳の奥に浮かぶハートが疼くのが見えて。
「やめろおおぉおおおッ!」
脱出成功。自業自得だ、悪く思うなよ……ブラックピット。
「……今のは」
通路に響き渡る悲鳴に顔を上げて振り返る。
「ウルフ」
と、部屋から出てきたウルフに視線を移せば顰めっ面。ハズレだったらしい。
「次だ」
頷いて先行く彼の後を追う。……皆、大丈夫かな。
本当肝心のミカゲは何処にいるんだろう――