ハツジョウ禁止!リターンズ!
くくっ、と含み笑いを浮かべて。
「ご名答」
暗闇の中ベッドの縁に腰を下ろし仕掛けてきたのはブラピだった。
「久々に呼ばれたよ。その名前」
「文面でも略されるくらいだからな」
「全くだ。なんでそこまで定着してんだか――」
ユウはちらりと尻目に扉を睨んだ。
「開かないぜ」
ブラピはにやにやと笑いながら膝の上に頬杖をつく。
「何のつもりだ」
「別に。どうもしないさ。第一、そんなフェロモンに巻かれるオレじゃない」
……目を丸くした。どうやら彼は正常であるらしいのだ。
「オレは取って食うつもりも食われるつもりもないからな」
ただ。ブラピは続けて、
「少し試してみたくなったのさ。……あんたの飼っているペットが、いつまでいい子で“待て”が出来るのかを」
そういうことか。ユウは目を細める。
非の打ち所がないと思われがちな正義部隊にも当然のこと尖った性根の連中がちらほらといる。その内の一人が言うまでもなく彼である。自由気儘に他の誰かの為でもなく好奇心に突き動かされるがまま事を成す、それが今回。
子供の悪戯に近からず。けれど圧倒的に、それ以上にたちが悪い。
奴がフェロモンに巻かれたら。
笑い事じゃない。間違いなく大変なことになる――!