ハツジョウ禁止!リターンズ!
「お邪魔しまーす……」
派手に、とまではいかないが。
そろりと入室すれば待ち兼ねていたかのように扉が勢いよく閉まった。そんなよくあるダンジョンの仕掛けじゃあるまいし。違えば退室すればいい。扉の閉まる音に一瞬体を跳ねたが小さく息をついて、ロイが一歩二歩と踏み出したその時。
「捕まえましたよ……」
後ろから。
「ぎゃああぁあああ!?」
何かの仕掛けとかじゃなくて実際に本人が扉を閉めてたんかい!
ロイが銃を構えるよりも早くその人は後ろから手を回し、ご丁寧にも手首を掴んでこれがまた本当にフェロモンにやられているのかと問いたくなる力加減。振るうも解かれずはあっと耳元に吐息がかかってピシッと石化。
「ロイさん……僕と一緒にマズイことしましょう……?」
息を怪しく弾ませながら。
違いない。この声から察するにシュルクである。
「おまっ落ち着け! ってか当たってる!」
「僕のモナドがどうしましたか……?」
「そういうこと言っちゃ駄目だろ!」
もがけど解放する気配はなく。
「くっ」
手荒な真似はしたくない。こうなったら!
「窓の外に機神兵が!」
「機神兵!?」
ぱんっ
「根はそのままで助かった……」
薬弾を受けてぐるぐると目を回しながら倒れるシュルクを目にロイ、ひと息。