危険なヘアサロン
や、好きなように弄べって言ったの自分じゃん!
こういう時だけ分かりやすく顔に出るよね、ユウって!
「……見てみたら」
「知らん」
思いっきり戸を睨みつけながら言われてもなぁ……
十五分後。
「終わったわよ」
なに食わぬ顔でシフォンが出てきた。ユウはすかさず食いつく。
「おい」
「何かしら」
言ったところで。
「……いや」
「待たせたな!」
遅れて、浴場から出てきたリオンをユウは睨みつけた。
「貴様さっきの声は――」
はたと声を失う。
見事にさっぱりとしている。
いいや、何も全て毟り取られたわけではなく。元の髪型は確かに変わってないが髪が伸びて多少もっさりしていたところを綺麗に切り揃えられていたのだ。特に耳と尻尾に関してだが此方はしっかり短めにカットしてある。
……全体的に爽やかな雰囲気だ。
「どうだ、ユウ!」
ユウはふいと目を逸らす。
「……少しはマシになったじゃないか」
「それはつまり惚れ直したということだな!」
「調子に乗るな、駄犬は駄犬だ」
「ありがとうございます!」
……素直じゃないなぁ。