危険なヘアサロン



リオンの髪といえば。全体はすっきりとした青のショートヘアで鼻筋を沿うようにして流れた前髪の一部が黒く染まっている。いわゆるメッシュというものだろう。加えて彼の頭にはぴょこんと犬の耳が生えている。

彼はルカリオなのだからルカリオの耳、と表記するのが正しいのだろうが。正義感と忠誠心に溢れ波導を操る紳士こそがルカリオならば、彼をそう例えるのは他の同種族の方々に失礼である。何せ、

「下の毛のカットの方は受け付けておりますか」

発言の直後に光速でユウの蹴りが飛んでくるまでの天性の変態。

天性。神様が神様だからか。とんでもない性質、いや性癖を与えたものである。

「シフォン」

ユウはリオンを床に踏み倒し蔑んだ目で見下ろしながら。

「遠慮はいらん。お前の好きなように弄べ」
「飼い主さんがそう言うのなら遊ばせてもらおうかしら」

シフォンは意味有りげにくすっと笑った。……


「中は覗かないでちょうだいね」

そう言って先にリオンを浴場に押し込んで、シフォンは振り向きざま警告する。

「覗くとどうなるんだ」
「……ふふ」

ネロが聞いたがシフォンは笑みをこぼすだけだった。そのまま、パタン。

「大丈夫だろうな……」
 
 
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