危険なヘアサロン
というわけで、髪を切ることになりました。
「僕はいいって言ったのに……」
ポケモン組の中では最も乗り気じゃないであろうルーティが不服をこぼす。
「男の子がだらだらと後ろ髪を伸ばすものじゃないわよ」
「それを言うならユウだって――」
「あれは尻尾だから」
「えっ」
ちなみにシフォンが無料ヘアカットを約束したのはポケモン組だけだった。他も頼まれれば受け付けるのだろうが、さっきも言っていたように誰を切ればいいのやら覚えるのが億劫になったものでグループでひと括りにしてしまったのだろう。
ここでマリオが乗り出せばルイージが犠牲になるんだろうな。自分たちだって髪を切られることに恨みがあるわけではないし、巻き込めば却って非難が飛ぶ。
何せ、相手はあのシフォンである。
「誰からにしましょうか」
容姿端麗、他の女性陣を上回る魅惑のスタイル。おっとりとした口調、見るからに柔らかそうで且つ普段着ている着物の胸元からこぼれ落ちそうなたわわな――
……ともかく、あれで未成年なのだから一部女性陣は納得ならない。
「はい!」
ちなみにルーティ達ポケモン組は脱衣場に移動していた。
浴場でカットする為である。
「リオンか」
初めの犠牲者に相応しい。
「ふふ。犬の毛をカットするのは初めてだけれど頑張るわ」
「トリマーかよ……」