危険なヘアサロン
「ったく」
ネロは浴場の戸を閉めるとそのすぐ横のタイル壁に背を預けて腕を組んだ。
「いいか水は使うな絶対だぞ」
「それじゃ頭を洗えないじゃないの」
「いいんだよそれで」
「ネロは相変わらずだよねー」
ローナが椅子に腰を下ろすとシフォンはさっとタオルを掛けて。
「当たり前だろ。そいつに水を使わせたら何に使うか知れてるからな」
「あら。そんなの髪を洗うだけに決まってるじゃないの」
「嘘つけ」
シフォンはくすくすと笑って鋏の刃をローナの髪に滑らせる。
「どのように致しましょうか?」
「じゃあお任せでっ!」
はたと手を止めて訊ねる。
「いいの?」
「やめとけって」
ネロは溜め息をついた。
「大丈夫だよー!」
すると、ローナは無邪気に笑って。
「シフォンは僕のお姉ちゃんだからねぇー!」