危険なヘアサロン
「……あら」
浴場の戸が閉まるとそこには二人の少女。
「二人同時だなんて」
「その言い回しだと変な語弊を招くからやめてちょうだい」
――リムとピチカだった。
というのも先程から、脱衣場からは窺えない浴場の中で何やら騒がしい。リオンはともかくユウもルーティも酷い目に遭ったというような顔だし、それならいっそのことパートナー同士彼女が下手な真似をしないよう見張っておこうってわけ。
「冗談よ」
シフォンはくすりと笑って鋏を取り出す。
「切りすぎないでちょうだいね」
「僕も僕も。あまり長さは変えないでほしいなぁ」
交互に切ることになった。シフォンはするりと鋏の刃を通す。
「女の子はある程度のクールを迎えたら断髪するものよ」
「えー」
「嘘つかないの」
リムはじとっとした目で突っ込み。
「僕、腰まで髪伸ばしてお母さんみたいにゆるふわにするんだぁー!」
「ウェーブとカールは違うのよ。ちなみに、リムの髪はいわゆる天然パーマね」
「知ってるー! ウェーブみたいでいいなあって!」
ぱさりと切った髪が床に落ちる。
「パーマはパーマネント・ウェーブの略。ウェーブと同じなのよ」
「えっそうなの!?」
「貴女、それだけ詳しいなら美容師の方が向いてるんじゃないかしら……」