危険なヘアサロン



数秒の間を置いて。

「っ卑怯だぞシフォン!」

……声が。

「貴方が暴れるからじゃない」
「だからってこんな、っあ、貴様、妙な所を探らせるな!」

このパターンは。

「ッッん、ぐ!?」

おい。

「ちょっと待ってこれ全年齢対象だよね! ねえ!?」
「ただ髪切ってるだけだろ」
「ネロはさっきからなんでそんなに冷静なの!?」
「じゃなくてお前が目には見えてないもんを余計な妄想膨らませてるだけだ」
「触手プレイ……くっ、見たい!」


十五分後。


「はいお疲れ様」

戸が開いたかと思うと、ふらふら覚束ない足取りでユウが出てきた。

てっきり、文学少女よろしくお下げ髪にでもされているものかと思えば案外普通にカット&セットを施してもらっている。騒ぐ割には普通なんだよなぁ……

「ユウ」

ぎくりと肩を跳ねる。

「声を抑えるのはいいけれど……逆に色気があって可愛かったわ」

……うん。

「また伸びたら切らせてちょうだいね」
「だが断るッ!」

普通だよね?
 
 
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