危険なヘアサロン




……朝。

何の変哲も無い平和な一日の始まり。

「ぅ」

上からの任務も市民からの依頼も受けていなければこれといった予定もない朝というのはふかふかのベッドに体をうずめ、本当の意味でいつまでも寝ていたいもの。それが高難度の長期任務を明けた後なら尚更。……けれど現実は残酷でカーテンは勢いよく開かれると、窓から眩しい朝の陽射しが差し込んだ。

「おはよう、ローナ」

……姉の声がする。

「何時ぃ」

のっそりと起き上がり寝惚け眼で見つめた先にその人はいた。

「お寝坊さん」

朝陽を浴びて振り向いた、少女は姉のシフォン。……おいおいその服はネロのワイシャツじゃないかね。全裸の上にそれ一枚、なんて、なんとまあ。

「八時になったわよ。苦情は聞かないわ、早起きは得をするのだから」
「本当に得をするって証明してくれたら次からそうするよ」

おやすみ、と布団に戻ろうとすれば。

「私はレッドやネロほど甘くないわよ」

胸の谷間からするりと鞭を抜いて被ろうとした布団を絡め取り、奪い去る。

「はぎゃああっ!」
「……まだ起きてなかったのか」

洗面所から戻ったのだろう長男のネロが呆れ気味に入室。

「さっさと着替えなさい」
 
 
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