ボク、紹介します!



そういえば、彼には事情を詳しく説明していない。こうして誘ったのも実を言うと今日唐突になのだ。

というのも彼がギリギリまで任務の関係で戻ってこなかったのが原因なのだが……依頼先は彼の出身である東の国に近い。ついでに立ち寄っていたのだろう。

「紹介したい人がいるんだ」

余計な詮索はここまでにしておくとしてピットはロイの質問に答えた。

「おー、どんな人?」
「それは会ってみてのお楽しみ」
「んだよ焦らすなあ」

にやにやと笑って小突いてくる辺り、雰囲気は悪くない。

きっと楽しい食事になるはず。

「あっ」

指定された店の名前を掲げた看板が視界を掠めてピットは振り返った。

「見つけたのか?」

少し先まで進んでいたロイは気付くと首をそちらに向けながら後退して。

「ん?」

呆気にとられるピットの横に並んで看板を見上げる。

「此処って」

ロイがぽつりと答えた。

「居酒屋じゃね?」
 
 
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