ボク、紹介します!
す、す……
「別にどっちでも」
言い切る間もなく睨みが飛んできた。ひい。
とはいえ、本当の意味で別に好きでも嫌いでもないんだよな。確かに性格は取っ付きやすいし女性としては、こう、スタイルもいいし。“光の女神”の名目に相応しい端麗な容姿は誰に引けを取るでもなく、あれが彼女なら地獄の閻魔も羨むだろう。
でも、俺には。……俺には?
「おい」
ブラピはやけに刺々しく言い放った。
「なんで赤くなってんだよ」
言われてようやくロイは自身の現状に気付けた。
……よからぬ想像で耳まで真っ赤になっていたことに。
「べべべっ別に赤くねーし!」
今度はロイがテーブルを両手で叩いた。ぐらっ、と徳利が揺れる。
げっ、と洩らして我に返った。倒れてしまいそうだったので慌てて腕を伸ばしたがそれがいけなかったのだ。とん、と誤って指先を突いてしまえば冷や汗がたらり、徳利は無情にも向かいの無抵抗なブラピまで真っしぐら。
ぱしゃっ。
「……てめえ」
黙られるよりはマシと思った。その方がよっぽど怖い。
「わっ悪い」
俺も何を意識してんだか。ハンカチも布巾も無いのでその場でおろおろと迷った末、羽織るマントで拭ってしまおうと思い立ちそそくさと移動する。