ボク、紹介します!
……戸が閉められた。
何だったんだ。猪口に残された酒をぐいと飲んで向き直るのと同時、視線。
錆び付いた歯車のようにぎこちなく顔を背ける。頬杖をついてじっと見つめているのは言わずもがなブラピ。
え、ちょっと席を外すだけだよな?
「おい」
ぎくりと肩が跳ねた。
「店員を呼べ」
そんなの自分でやりゃあいいのに。口には出さず渋々とチャイムを鳴らす。
ロイは余っていた枝豆を手で摘まむと莢を咥えた。さっきまでわいわいがやがや、如何にも居酒屋エンジョイしてますといった雰囲気だったのに二人が抜けた途端にこれだ。自分だってそれなりに対話術は備えてあるが、話題が見つからない。
だからってこのまま黙々と酒を飲むってのもなぁ……
「お待たせしました」
悩んでいる間に店員が来た。ついでに何か頼むとしよう。
「麗亜酒の一合」
「二合にしろ、猪口も持ってこい」
えっ。
「飲めるんだろ」
ブラピは立て膝に腕を掛けて口角を吊り上げる。
「オレがついでやるよ」