ボク、紹介します!
ふんと鼻を鳴らし向かい合って座る。きっと睨みつけた先は襖の隙間。
「……どう思う?」
マルスは敵意の炎を燃やしながら訊いた。
「ないね。絶対ない」
カービィは見えもしないのに頬杖をついて嘲るような笑みをこぼす。
「てーか有り得ないっしょ」
光の女神パルテナ。その見目麗しい容姿からは凡そ想像もつかない年月を、雲より遥か高く位置する天界エンジェランドにて地上界を見下ろし温かな微笑みを湛えて静かに人間たちを見守ってきた。
と。ぼかして話せば聞こえはいいが、早い話が……若くないのである。
「釣り合わないんじゃない?」
カービィは小馬鹿にしてそう言ったがマルスは。
「……なに、その目」
じゃあお前は何歳なんだと煽ってやりたいところだがちょうど店員も来た。
さっとメニューを開いて視線を遮断。
「コースっていくらから?」
「あ、はい、二千円からになりますが」
「五千円にしたら何が付くんだい」
「それはちょっと……聞いてみないと……」
「牡蠣と伊勢海老が食べたいから二万より抑えて上手くやってもらえる?」
わぁお。
「かっ畏まりました」
店員はそそくさと退室。
「あんたの金銭感覚どうなってんの」
「別に、食べたいだけだから理屈は同じだよ」
「いやいや」
金持ちって怖い。