ボク、紹介します!



人に限らず生き物が無意識下に処理している五感からの情報は実はかなりの情報量がある。例えばちょっとした空気の動き、周りにいる生物の呼吸音……視線もその内のひとつと言える。余程その人が鈍感か作業など夢中でない限り物音ひとつ立てなかったところで気付いてしまう。皆さんも何となく経験がお有りでは?

「あのさぁ」

尾行する時は目標物に対し視線を直接与えず、ずらすのが基本。

「邪魔なんだけど」

……ま。

「それはこっちの台詞だよ」

この二人の場合、守れてないみたいですけどね。


「上から頭押さえつけないでって言ってんの」
「君と頬寄せるなんて死んでも御免だね」

ほんの少し開いた襖の隙間から隣の部屋の様子を縦に並んで窺う影。

カービィとマルスである。

「正論あざーす」

実はこの二人、黙って後をつけて来ていたのだ。

双方見つめる先には言わずもがな。

「ユーモアのある素敵な方ですね」
「い、いやぁ……」

デレデレしやがって。 
 
 
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