災厄の君へ
ピチカは指先を合わせたり指を組んだりと何やら落ち着かない様子。こうして改めて顔を突き合わせたからには言いたいことなど山ほどあるだろうと言葉を待っていれば意を決したように。
「一緒に遊ぼっ!」
……え?
「……それは」
シアは目を丸くしながら。
「私に……言ってるの?」
「いやこの流れで誰に言うんだよ」
「近くにいるからルーティとかじゃね?」
ディディーとトゥーンが口々に。
「聞いたぜ。鬼ごっこ強いんだって?」
「、……あれは」
「あれはもこれはもなしっ!」
言葉の勢いに気圧されてしまえば口を噤んで。
「ユウ以外捕まえたってんだろ!?」
「すっげーよな!」
「に、逃げ切れるかな……」
「能力使っていいなら余裕じゃん」
案の定呆気に取られてしまっているシアのすぐ側まで歩み寄ったピチカはその手を手に取ると。
「すっごく悔しかったんだよ」
両手で包み込みながら。
「だから……リベンジしたいの」
シアは黙っている。
「あっ、でもねっ難しく考えないでほしいの!」
気付いたピチカは思わずぱっと離すと今度は照れ臭そうに笑いながら。
「変に恨みっこなしで普通に遊べたらなー」
なんて、と最後は小声で繋げて。
「……遊ぶ……」
シアはぽつりと呟いた。やはり一度はある種の敵対をした相手と分け隔てなく遊ぼうなんていくら何でも無茶苦茶だっただろうかと子ども達五人が目を見張っていれば表情に影を差して小さく。
「……ごめんなさい」