災厄の君へ



……間違いない。

「ゆっ」
「ユウッ!」


早!


「寄るな」
「ぁあんッ!」


いやこっちも早っ!?


「あ、あはは……」

徒に正体を隠していた土煙がようやく晴れようとする中入れ替わりに壁に突っ込んだそれが新たな土煙を生成している。短時間にこうも愉快なやり取りを繰り広げられたのでは苦笑いする他ない。

「ねーこっちリオン来なかった?」

ひょいと顔を覗かせたのはカービィである。

「さっきものすごい勢いで飛び出して」

言いかけて目を丸くする。

「なんだ。戻ってきたんじゃん」
「みたいですね」

リンクも小さく笑みをこぼす。

「おかえりなさい」


紅茶の注がれたカップに湯気が立つ。

「ダージリンティーです」
「素敵。ありがとう」

その人は指先を合わせて微笑みかける。

「え、ええっと」

テーブルを挟んで向かい側。

「ユウが戻ってきたのは分かるんだけど」

ルーティは厭にギクシャクとした様子で。

「なんで……その、……シアさん、が……?」
 
 
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