災厄の君へ
そうだ。早急に済ませてこの地を離れよう。
災厄の目が。
嫌な未来を捉えてしまわぬ内に。
「──ユウとリオンって背が高いよね」
繁華街で食事を終えた一行は次の目的地たるルーティの父ラディスの墓がある向日葵畑を目指して森の中を歩いていた。そんな中でふとした疑問を投げかけたのはルーティである。
「お前が小さいんだろう」
「い、言っとくけどもう言われ慣れたからね」
「その割には心傷されている様だが」
「だろうな」
いやに鋭い矢印が背中から胸にかけて突き刺さる音がした気がする。
「ぼ、僕じゃなくて二人の話をしてるんだよ」
「我々は背が高いのか?」
「何センチ?」
ルーティが聞くとリオンは腕を組んで。
「暫く計ってはいないが……齢十五の頃に受けた健康診断では百七十を越していたな」
十五歳の時点で!?
「ゆ、……ユウは?」
「その頃には今と同じ身長だったな」
そういえば──ネロの身長が確か百八十センチ弱だったはずだから彼と並んで然程変わらない二人も届くか届かないかくらいなものなのではないだろうか。推測に過ぎないもののそのくらいの身長ともなれば自分が間に挟まって歩いた時例の背の高い男性二人に吊るされた宇宙人の気持ちをひしひしと感じるのもまあ頷ける。
「な、なにを食べてればそうなるの……」
「食に強い拘りはなかったな」
「出された物を食べていただけだ」
参考にもならない。
「……ユウの目って僕の未来の姿とか」
「変わっていなくても知らないぞ」
「やっぱりいいです……」