災厄の君へ



……あの事件から数日が経った。

色んなことがあったのだと言ったところで結局は一日の内の数時間の出来事でしかなかった上に被害を受けたというのも一部の戦士だけ。フォックスやヨッシーといった情に厚いメンバーは親身になって話を聞いてくれたもののウルフを筆頭に差したる問題じゃないと判断を下すメンバーもちらほら。無論恨むつもりもないけどこっちは大変だったのにと頬を膨らませれば笑われながら空気を抜かれてしまった。解せない。

「それで」

フォックスは手を引っ込めながら。

「何か連絡はあったのか?」


帰省を終えてエックス邸に戻ってきていたルーティ達は食堂でお茶をしながら事の顛末を各々に話していた。テーブルを挟んで向かい側に座っていたフォックスが聞けばルーティは紅茶の注がれたカップを小皿に戻して静かに首を横に振る。

「そっか」

あの事件以降──シアを連れて実家に戻ったユウからの連絡はない。一日で済ませて帰ってきてくれるものとも思っていなかったが連絡もなく数日と経過したのでは不安も募る。何か知っていそうなリムとリオンも連絡は来ていないと話していたし、からといって外野が必要以上に家庭の事情に首を突っ込むべきではないだろう。

「それにしても」

それまで同席はしても話を聞くだけの姿勢だったファルコが隙を縫うように口を開く。

「よく許してくれたな」
「あはは……フォーエス部隊のこと?」

ルーティは苦笑いを浮かべる。

「だいぶ怖かったけどね」
「正義厨だからな」
 
 
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