災厄の君へ
息を合わせた訳でもなく、けれど同じタイミングで──双方共にその双眸に光を滾らせると全身に纏った赤と青それぞれのエネルギーが雷鳴のように声を上げながらまるで何か別の生き物かの如く畝りながら相手に向かって放たれた。それはどちらが優勢とも言えない中程の位置でぶつかり合いぎりぎりと押し合っていたが不意に逸れるとそれぞれの主人に向かっていき──やがて。
「、きゃあっ!」
大爆発を起こせば突風が吹き荒れて外野たる戦士たちも当然それに巻き込まれる形となった。思わず声を上げるルフレを守るように抱き締めながらマークは眉を寄せて立ち込める煙の奥の結果を見定めようとする。それは当然彼だけに限らず、その場に居合わせた全員が吹き飛ばされないように耐えながら目を凝らしていて。
「やっばぁ……」
パックマンはその光景を目に引き気味に呟く。
「ユウ……」
ようやく正気を取り戻した様子のリムは僅かに尾を引く頭の奥の鈍痛にほんの少しだけ眉を寄せて小さく咳き込みながらも見守っている。
「あいつら……」
「ど……どうなった、の……?」
不安げにスピカに寄り添い怯えた様子のピチカ。
「いやぁ流石に生きてるっしょ」
「……まだ少し眩むわね」
「動くなよ」
口々に言うのは三兄妹である。最後に発言したネロが意図しているのは身を案じているばかりではなく依然として結果が分からないからこそ。
「、!」
瓦礫の崩れる音に誰もが反応を示した。
「……どっちだ?」