災厄の君へ
ブルーは構えたモンスターボールを解放する。
「カメックス、冷凍ビーム!」
その一方でマークとルフレは背中合わせになって魔導書を片手に魔方陣を足下に展開──向かってくるピチカとリムがそれぞれ攻撃を繰り出すより早く同時に手を突き出せば雷と炎が絡み合い渦を巻きながらその前方へと放たれた。それが途切れれば今度は飛び出したシュルクがルルトの攻撃をモナドで受け止めてテリーに呼びかける。
「頼んだよ!」
激しい戦いが繰り広げられる中被弾しないように天井高くまで飛翔したパルテナの飛翔の奇跡の力を借りて攻撃を掻い潜りながら何かを探すように鋭い視線を走らせていたのは最初に扉を吹き飛ばした張本人たるブラピである。途中リオンと応戦していたネロが思惑に気付いたのか否か飛翔して追ってきたが舌打ち混じりに往なした直後。
「……あれか!」
人目に触れない物影で身を潜めていたミュウツーボールを見つければ狙杖を構えて程なく。
「貫け!」
破裂音が響き渡る──
「ぁぐ……ッ」
異変は即座に訪れた。それまでジョーカーと戦っていたミカゲが不意に苦しげに呻いて頭を抱えたのである。構えていた水苦無を落として両膝を付いたのは何も彼だけではない──どれだけ呼びかけても攻撃を交えても洗脳から抜け出せなかった全員が襲う頭痛に手を止めていたのである。
「、そんな」
繰り広げられる光景にシアは小さく呟く。
「言っただろう」
ユウは冷たく見据えて繰り返す。
「終わるのは貴様だ。……シア」