災厄の君へ



「、!」

程なくしてユウを囲うようにして計四つの同じ形の魔方陣が現れた。それらは光を瞬かせると念力による硬直を起こした上でその中心から黒塗りの鎖を金属を擦り合わせた音を立てながら吐き出しユウの四肢を容赦なく捕らえる。

「終わりです」

シアが冷たさを孕んだ声で言い放つと今度ユウの頭上に巨大な魔方陣が展開した。

「いや」

ユウは傷の痛みに眉を顰めながら返す。

「終わるのは貴様だ」


次の瞬間だった。


「貫け!」

そんな声がしたかと思うとこの部屋唯一の出入り口たる扉が大きな爆発と共に派手に吹き飛ばされたのだ。誰も驚き目を見張る中立ち込める砂煙の中から白い光が一閃、放たれる。

「!」

それは的確にシアの背後に大きく展開された魔方陣の中心部分を貫いて他の魔方陣を無力化。

「何者です」

シアが眉を寄せながら問えば。

「随分と楽しそうなことやってんじゃん?」

砂煙は次第に晴れて。

「はいどーもこんにちは」

少年は口元に笑みを浮かべて紡ぐ。

「……正義部隊です」
 
 
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