災厄の君へ
地上界──森林都市メヌエルより遥か北に位置する大森林のその手前。突如として白い光の玉が現れたかと思うと次第に大きく膨れ上がり、やがて弾けた。そうして中から現れたのは十人ほどの男女である。その先頭にゆっくりと進み出た少年は大森林の入り口を見つめた。
「……この先か」
──第四正義部隊フォーエス部隊。
「パックマン知らないなー」
隣に並んで口を開く。
「こんな所があったなんて」
「迷いの森なんて呼ばれている場所だね」
「過去にこの森を開拓して街を作ろうなんて案も出ていたみたいだけど、いざ実行に移そうとした作業員が何人も行方不明になったそうよ」
口々に言うのは双子軍師のマークとルフレ。
「げえっ怖すぎ。まだ死にたくないんだけど」
「でも死ぬかもしれない仲間がこの先にいるのに放っておけないよ」
大森林を睨みながら言うのはシュルクである。
「それにしたって大袈裟すぎない?」
パックマンは呆れたように。
「あいつらだって第四正義部隊フォーエス部隊の名を冠する戦士ってヤツなんだか」
「──ミカゲさんの反応が消えました」
水を差すように静かに口を開いたのは終始ノートパソコンを見つめていたブルーだった。
「事態は一刻を争うな」
ロックマンは思わず眉を寄せる。
「、ジョーカー!」
居ても立っても居られなくなったのか駆け出した彼をマークが呼び止めようとするも続けざまシュルクまで飛び出していくので頭を抱えた。
「罠かもしれないのよ!」
聞く耳持たず。
「っ……ああもう!」
仲間が心配な気持ちは痛いほど分かるがこういう場面で急くのが一番良くないというのに。
「……僕たちも急ごう!」