災厄の君へ
ユウは一瞬だけ目を丸くした。
「……お前たちか」
そこに居たのはローナとシフォンとネロの三人だったのである。彼らの実力を認めていなかったというつもりもないが誰か一人くらいは欠けていそうなものだと勝手に想像していただけにまさか勢揃いだとは思いもしなかったのだ。
「うふふ。得意の未来予知でここまでの事は見越していたのかしら」
からかうようにシフォンが言う。
「他の連中は?」
「いんや。俺たちだけだ」
「従順なペットは居ないのね」
痛い所を突かれて眉を寄せそうになる。
「まさか……逃がしたのかい!?」
「逃がしても戻ってくるだろあれは」
ユウはふいと目を逸らす。
「──可哀想」
ぎくりとして視線を戻した。
「飼い主の為に」
「忠犬だねえ」
「何もしなかったんだな」
心臓が俄かに加速する。
「あははっ」
一際大きな声でローナは笑った。
「ま、そんなのどうでもいいもんね?」
無邪気な笑顔で紡ぐ。
「行こっか!」