インヴァースの輪舞曲
……宛てって。
「急に押し掛けてしまってすまないな」
「ううん。気にしないで」
その人は朗らかに笑いかける。
「この間も任務手伝ってもらっちゃったし」
X部隊!?
「はは。他でもない君たちの頼みだ」
ロックマンはにこやかに。
「敬愛する上長方の申入れに応えられないのでは後輩の名に恥じるというもの」
どの口が。
「わー賑やかになるねえ!」
「あはは。そうだね」
それにしてもまさか──その宛てというのがX部隊が拠点としているエックス邸とは。彼らの屋敷は都心から少し離れた場所に位置していて今回の豪雨の影響を受けていない。とはいえ今やこのフォーエス部隊もX部隊を軽く越してしまう人数なわけだが。狭苦しくなってしまわないものか。
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
「元々一人一部屋じゃなかったからね」
訊ねるブルーにレッドが答えた。
「一部屋に一人二人増えたって同じでしょ!」
「重要なのは部屋割りくらいなものだわ」
「そうそう。どうするんだ?」
口々に言うのはアルフェイン兄妹である。
「こんなこともあるだろうと思って」
「予知してたの?」
ロックマンは懐から用紙を取り出す。
「予め部屋割りを決めてくるなんてさすが」
「いや。阿弥陀籤だが」
行き当たりばったりにも程がある。