インヴァースの輪舞曲



どうしたんだろう。顔色が悪いみたいだけど……

「本当だ」

遅れてバトルルームに入ってきたフォックスは、自身の端末に視線を落としながら。

「化け物が出たって」
「一躍有名人だな」
「あはは」

第四正義部隊フォーエス部隊って時点で、一般人より知れ渡ってるとは思うけど。

「……凄いね」

SNSで話題になるばかりではなく有名な動画配信者でさえ取り上げているという大賑わい。何せ本物のロックマンがオンライン対戦に姿を現したかと思えば連戦連勝、一夜にして世界戦闘力トップ保持者に躍り出たのだ。今のところ連絡はないがまさか司令塔の方は対応に追われていやしないだろうか。あしらっていそうなものだが。

「徹夜したの?」
「……覚えがないな」

それだけやり込んでいたのだろう。

「さっきからどうしたんだ?」

そしてこれである。

「ロックマン達は……あまり興味が無いんだね」
「世界戦闘力のことか?」
「うん」

ルーティは苦笑気味に肩を竦める。

「実戦とはまた違うからな」

その時だった。

「後少しだったのに……!」

淡く光を灯した青いパネルから現れたのはルルトだった。その悔しそうな表情を見るに善戦虚しく敗れてしまったといったところか。続けざま同じ青いパネルから現れたのはマックである──どうやらチームを組んで例のオンライン対戦に挑んでいたらしい。

「足を引っ張ってしまってすまない」
「謝ることないわ。私が復帰を狩られてしまったことも原因だけど第一に前線を張っていた貴方の蓄積パーセンテージに気付けなかったもの」

ルルトは頭を抱える。

「本当に……不甲斐ないわ。目の前の敵にばかり目を奪われて仲間を討ち取られるだなんて実戦であってはならない一生の不覚よ」
 
 
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