井蛙の教訓



「こんにちは!」

扉をそっと開ければ打って変わって元気な声。

「な……何用で御座るか……」

部屋を訪れたのはポケモントレーナーのブルーとしずえだった。これでもし現れたのが強面の面子なら卒倒していた事だろう。

「どうかしたんですか?」
「そ、それはこっちの台詞で御座る……」
「あれっ? わたしとブルーさんは今日任務をご一緒させていただくという話だったはずです!」

思いっきり非戦闘員。

でもそれでようやく理解。エンダーマンも恐らく今日の任務に同行するその一員なのだ。それにしても戦えるのやら戦えないのやらどうにも扱いに困るラインナップで御座るな……

「そ、それにしては張り切りすぎでは」

まだ昼過ぎである。

「それはもちろん」
「作戦会議ですよ!」

口々に。

「お邪魔してもいいですか?」
「ヒュッ」

変に息を吸い込む音。

「だだだだっ駄目で御座るよ!」
「えっなんでですか?」
「おなごがおのこの部屋に踏み入るなど!」
「エンダーマンさんはいますよね?」

性別不詳。

「だ、だだだ」

この部屋は謂わば聖域。癒しの地。変に弄られたくなければ触られたくもないし知られたくない。自由に見られても困る干渉されても困る。

関わるのも。

踏み入られるのも。

「駄目で御座るううぅうッ!」
 
 
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