僕たちの道標



さあっと風が吹き抜けた。

俄かには信じられなくて思考停止。自分が一体どんな顔をして立ち尽くしているのか。

「レッド?」

ゼニガメは首を傾げる。

「私たちのこと疑ってるのかしら」
「えー。僕たち結構強いよ!」
「一応バランスも取れてるしな」

リザードンは腕を組みながら同意する。

「あっそうだ! レッドのポケモン達と戦って僕たちの強さを証明するってのはどう?」
「あら。面白そうじゃない」

フシギソウは薄笑みを浮かべて。

「無理強いするようなことじゃないだろ」
「でも僕レッドと一緒にいたいよー」

膨れるゼニガメにリザードンは溜め息。

「お前はどうなんだよ」

改めて向き直る。

「、え」


頬を伝って零れ落ちる。


「は?……は!?」

リザードンは慌てふためきながら。

「あーあ。泣かせちゃった」
「その目付きがよくないのよ」
「だからって泣くことないだろ!」

指摘を受けた本人はそこでようやく自身の頬に触れて確かめるように雫に触れる。

「あれ。何でだろう」

ぽろぽろと溢れて。

「ごめんね。違うんだよ」

……止まらなくて。

「俺は、トレーナーだから。いつもポケモンを選ぶ側で──選ばれるってことがこんなに──嬉しいことだとは思わなくて──」
 
 
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