僕たちの道標
炎は急速に勢いを衰えていく。そうして初めて未だ降り止まない雨の冷たさを知った。
「手術を受けてほしい」
絡まっていた糸が解けるみたいに。
「全部リセットして」
力が抜けていく。
「穏やかな日々を約束するから」
心臓の鼓動が落ち着いていく。
「にいに!」
崩れ落ちるリザードンを支えようとするも腰に腕を回していたお陰で引き寄せられてレッドは胸に飛び込んだ。ごめん、と慌てて体を起こしながら口を開いた直後手のひらが髪を撫でて。
「お前みたいな馬鹿もいるんだな」
何処か呆れたようにリザードンが呟く。
「そうだね」
レッドは失笑して。
「俺みたいなトレーナーもいるんだよ」
だから。
どうか全てを突き放さないでほしい。
「にいに」
雨に濡れた妹二人が見つめている。
「分かったよ」
息をつくように吐き出されたその言葉は。
「……お前に任せる」