僕たちの道標
胸の内側から込み上げてくる。
灼熱より。もっと別の。
「リザードン」
……俺だって。
「死にたくないに決まってるだろ……ッ」
降り頻る雨を蒸発させる勢いで円を描くように纏う炎の渦が激しさを増した。一向に落ち着く気配の見せない炎に身も心も焼かれていく。
「大丈夫だよ」
動悸を鎮めるような優しい声に。
「ゆっくりと息を吐いて」
導かれるように。
「君は絶対に俺たちを殺したりしないから」
解けていく。
「なんで」
リザードンは呟く。
「本当は泣いていたんだ。ずっと」
頬を触れた。人では有り得るはずもない体温にまで上昇していたリザードンはその言葉の通り自分自身気付かなかったのだ。涙が零れ落ちるより先に蒸発してしまっていた事実に。
「もっと早く気付いてあげればよかった」
「なんでお前が泣くんだよ」
その人の頬を伝う雫に胸が詰まる。
「君の代わりかな」
レッドは笑う。
「でもそれ以上に」
紡ぐ。
「君たちが信じて寄り添えるトレーナーになりたいって思ったから──」