僕たちの道標
……なんで。そんなの。
赤の他人のお前が体張ってムキになるんだよ。
「づ、ッ」
呻く声に引き戻されて肩に手を置く。
「離せ」
力を込める。
「離しちゃダメだよ!」
彼の背後から叫んだのはゼニガメだった。
「く、ッう……いい加減にしろ……!」
纏う炎は自分の意思に反して収まる気配を全く見せない。このままでは全てを巻き込んで焼き尽くしてしまうかもしれないというのに。
「こっちの台詞だわ!」
今度はフシギソウが叫んだ。
「どうして。何も言ってくれなかったの!」
「ッ……当たり前、だろ!」
灼熱に喉を焼かれるような感覚を得ながらそれでも声を振り絞るようにして訴える。
「兄妹なんだぞ!」
けれど。
「兄妹なら」
彼女は怯まない。
「なんで頼ってくれなかったのよ……!」
目を開く。
「頼ってくれたっていいじゃない! 何も迷惑じゃないわ! 私たちは──家族なのよ!」
ぽろぽろと涙を零しながら。
「逃げたっていいの。格好悪くないじゃない。でも、どうして──どうして逃げた先で独りになんかなろうとなんかするのよ!」
訴えかける。
「一生治らないような傷を付けられたって! 傍に居たいに決まってるじゃない」
叫ぶ。
「貴方と生きたいに決まってるじゃない!」