僕たちの道標
水を打ったように静まり返る。一方で降り止まない雨が森を大地を強く打ち付けていた。迎え討つ姿勢の少年少女は子供だと一概に言っても各地方のポケモンジムを制覇した強者ばかり。白衣の男たちはともかくそれを知らないはずもない警察は物の見事に怖気付いてしまっているようでポケモンにも指示を出せずに。
張り詰めた空気を。
掻き切るように咆哮が響く。
「にいに」
不安そうな声でゼニガメが呟いた。
「貴方」
前に進み出たのは。
「どうするの」
レッドはリザードンを見つめている。
そして。
「、ちょっと」
驚くフシギソウを差し置いて──踏み出した。
「何を考えているの!」
「俺が止める」
「馬鹿なことを言わないで!」
雨は降り止まない。
「凶暴化しているのよ!」
フシギソウは焦りを募らせながら訴えかける。
「自我を」
「分かってる」
遮るように口を開いた。
「でもこれは俺たちトレーナーの責任だ」
「だからって貴方が責任を負うこと」
「皆が逃げてきた結果なんだ」
フシギソウはハッとして口を噤む。
「だから」
レッドは拳を握り締めた。
「向き合いたい」