僕たちの道標
そうだ。俺は。
この子たちを守りたい。
「部外者の分際でごちゃごちゃと!」
助けたい。
「スリーパー!」
「ラフレシア!」
白衣の男たちが口々に叫ぶ。
「上等だ!」
グリーンがバトルの意思を示すと応えるようにしてウインディが踏み込んだ。警察もまたそれぞれのポケモンを繰り出してまさに一触即発の空気である中一人の少女が静かに口を開く。
「カメックス。れいとうビーム」
冷気を纏った薄水色の光線が放たれた。それは真っ直ぐラフレシアに突撃すると一瞬にして半分以上の体力を掻っ攫う。攻撃の発射地点を辿れば水色の巨体が力強く踏み込んで次の指示を待っていた。少女は防水加工の施されたノートパソコンを閉じると小さく息を吐き出して。
「アルフェイン研究所」
ぽつりと。
「森林都市メヌエルの人里離れた森の奥深くにある研究施設ですね。聖樹フィエスタの加護を受けて人間と同じ姿形を借りられるポケモンを研究対象に置いていてその一環として御三家である種を遺伝子提供などによって人工的に生殖する活動を人知れず行っている──そうですねグレーラインをもう既に堂々と踏み越えている悪性の組織、といったところでしょうか」
静かに擡げたブルーに冷たい視線を当てられて白衣の男たちは青ざめる。
「後の判断は警察の方々に任せますが歯向かうというのなら私もそれ相応の処置をとります」
冷めた口調で。
「正義に反する悪は滅ぼすだけですから」