僕たちの道標



誰より早く──まるで弾かれるようにその声に反応して振り向いたのはゼニガメとフシギソウだった。目の色を変えて構える二人にレッドが恐る恐る視線の先を辿れば即座に理解した。

そこにいたのは、警察をぞろぞろと引き連れた白衣の男だったのだ。二人の男は顔を見合わせ頷くと待機していた警察を振り返る。

「お願いします」
「よし。攻撃用意!」

はっと目を開いて立ち上がる。

「やめてください!」
「レッド君!?」

警察の繰り出したポケモン達の前に腕を広げて立ち塞がるレッドにブルーは目を開く。

「君! そこを退きなさい!」
「退きません!」
「誰かと思えばあの時の子どもか」

白衣の男は眉を寄せる。

「やっぱり匿っていたな」

レッドはきっと睨み返して。

「君も分かっただろう」
「何がですか」
「それは化け物だ。手に負えない」
「化け物にしたのは誰ですか」

男はせせら笑う。

「それはかつてのトレーナーだろう。子どもが知ったような口を叩くんじゃない」

レッドは視線を背けずに。

「彼らを探す時あなた達はダウジングマシンを使用していた──彼らの体の何処かにチップを埋め込んでいたからでしょう。だったら彼らが苦しんでいることはもっと前から分かっていたはず。そうしなかったのはあなた達が研究対象として監視していただけに過ぎないからだ」

語気を強めて返す。

「もっと早く助けられたかもしれないのに──見放したのは、あなた達だ!」
 
 
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