僕たちの道標
桁違いの攻撃力。接近すればひと溜まりもないだろう。これまでトレーナーの頂点と謳われてきた自分が向き合おうとしているのはこれまで積み重ねてきた策も戦略も全て通用しない正真正銘の化け物。いくら作戦を立てたところで、ありとあらゆるものを捩じ伏せる圧倒的な力を前に屈服させられることだろう。
「レッド」
グリーンは念を押すように。
「犠牲になるのだけは」
「大丈夫だよ」
そっと手を剥がしながら笑う。
「逃げたくない。向き合いたい」
けど。
「その為の犠牲にだけは絶対にならない」
固い意志を宿した双眸に。
「──!」
吠え声が響き渡る。
「ウインディ!」
グリーンは飛び乗るとレッドへ手を伸ばす。
「乗れ!」
持つべきものは。
「……うん!」