僕たちの道標
木々の生い茂る町の外れにある森。此方が接近する様子を捉えるとピジョットは主の元へ戻るべく大きく翼を羽ばたかせて降下を始めた──その時である。森の深くから木々を巻き込んで炎の柱が放たれたのだ。
「、ピジョット!」
グリーンが叫んだ時には遅くピジョットは炎の柱の餌食となってしまう。体力の全てを持っていかれたピジョットはバランスを崩して墜落。地面に叩きつけられるよりも早く、グリーンの差し向けたモンスターボールが回収する。
「レッド!」
はっと顔を上げた頃には。
「フライゴン!」
回避を唱えたが虚しく羽根を掠めてバランスを崩す。それでも何とか持ち堪えながら滑空していたが三度目の炎の柱が躱したと同時に完全に平衡感覚というものを狂わせた。あれよあれよという間にフライゴンは地面に体を叩きつけて不時着、レッドも地面に投げ出される。
「大丈夫かよ!」
直ぐさま乗っていたウインディから飛び降りてグリーンが駆けつける。体を酷く打ち付けたが大事には至らずレッドもゆっくりと体を起こすとモンスターボールを取り出して。地面に倒れ伏せたまま動かないフライゴンを回収する。
「うん。大丈夫だよ」
暗く呟いたレッドにグリーンは心痛ましく思いながら眉を顰める。
「この先に行きたくないって顔してる」
「……え」
困惑を顧みず両肩を掴む。
「俺には事情は分からない」
でも。
「半端な気持ちで踏み込むのはやめろ」
心臓の鼓動が頭の奥にまで響く。
「あはは」
影を落とす。
「グリーンには敵わないな」