僕たちの道標
グリーンは静かに目を開いた。
「分かった!」
そう言うや否や病室に飛び込んで硝子の割れた窓から外を覗き込む。そのまま腰に手を回すとモンスターボールを手に取って──外へ。
「ピジョット!」
飛び出してきたピジョットに叫ぶ。
「今から言う特徴のポケモンを探してくれ!」
そうして視線を受けるとレッドはハッとして。
「オレンジの髪!」
「人なのか!?」
「ポケモンだけど人間の姿をしているんだ!」
グリーンは顔を顰めて頭を掻く。
「……ポケモンの種類は!」
「リザードン!」
ピジョットが鳴き声を上げて飛び立った。それだけの情報とはいってもただの人間よりずっと頼りになる視力だ。自分も一点に懸けるだけでなく行動を起こさないと──フシギソウの体を傍らのゼニガメに預けてレッドは立ち上がる。
「フライゴン!」
グリーンと並んで窓の外にモンスターボールを投げれば直ぐさま飛び出した。迷いなく窓から飛び出してフライゴンの背中に飛び乗る。
「病院を出たら地上から追いかける!」
頼もしい言葉に頷いて。
「……レッド!」
飛び立つ前にグリーンは口を開いた。
「……おかえり」
こんな時に。
感情が溢れ出しそうになる。
「急げ、レッド!」
言葉を呑み込んで口角を吊り上げる。
「……うん!」