僕たちの道標



ひんやりとした風が頬を撫ぜる。ふと、視線を上げてみれば角張った建物が見えてきていた。白を基調とした目的地まで道なりに進めばあと数分といったところか。気を紛らわそうと視界から外して遠くの景色に目を向けてみたり──無駄な足掻きとは分かっていてもどんな怒号が飛んでくるやら変な緊張が拭えなかった。

「もうすぐだねぇ」

何処か嬉しそうに笑って肩を竦めるゼニガメに取り繕うことも出来ずに。

「そうだね」

浮かべた苦笑いを崩せないまま。

「はやくはやく!」
「あ、待っ」


運命の瞬間は訪れる。


「──!」

一瞬。何が起こったのか分からなかった。

もうすぐそこまで迫っていた目的地の病院の一室が爆発を起こして──今現在もくもくと煙を上げている。耳を劈く凄まじい爆発音に思考も何も全てが吹き飛んで呆気にとられていた。

「今の」

ゼニガメの呟きに硬直が解かれる。

「レッド!」

ばちんと弾かれるように現実に引き戻されたと同時に地面を蹴って駆け出した。


そんなはずは。


不安と恐怖と様々な感情が入り混じる。

頼む! 間違いであってくれ──!
 
 
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